罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 坂を登るにつれて心臓が悲鳴をあげる。

 頭一つ抜け出た彩を追いかける。呼吸の乱れは全然伝わってこない。

 むしろ坂を登るにつれて彩のスピードはどんどん上がっていく。

 

 優衣は混乱していた。何が起こってるのか分からず、必死に手足だけを動かす。

 後ろから麻紀の呼吸が伝わってくる。

 彩が後ろを振り返って楽しそうに叫んだ。

「なんだかさ、子供に戻ったみたいだね!!」

 優衣はすっかり忘れていた。そういえばなんなんだこのシチュエーションは。

 私服と制服姿の女の子達が必死で追いかけっこをしている。しかも全力疾走。

 

 前を走る自転車を追い抜くと、頑張れと声をかけられた。

「私達は何をしているんだろう」

 前を走ってる彩はまったく疲れの色を見せない。

 優衣は前を走る彩を見て、ふと昔の事を思い出した。

 まだ幼かった頃、こうしてよく二人で追いかけっこをしていた。

 彩には結局一度も勝てなかった。そして、今も。

 

 彩ちゃんは昔のままだ。

 

 どんなにキレイになったって、おしとやかに見えたって、周りの男の子から注目を集めたって、クラスの女の子達から羨望の眼差しを受けたって、彩ちゃんは変わらない。

 目の前の綺麗な女の子は目をキラキラと輝かせながら目の前の坂を登っていく。意外な子供らしい一面を見せる彩に、なんだか親近感を覚える。

 後ろを振り返ると、麻紀が余裕そうな表情で隣に並んできた。

「優衣、ちゃんとトレーニングしてんの?」

「してるよ!! 二人が異常なだけだよ!!」

 麻紀だってそうだ。昔からの一番の親友。ちょっと野暮ったいところはあるけど、友達想いのいい奴なのはずっと変わらない。

「もう……全部どうでもいいか」

 必死な顔をして坂を登っていると、なんだかすべてがバカらしくなってきた。もう全部話そう。隠し事なんて自分らしくない。二人に隠す事なんて何もない。もう楽になっちゃえばいいんだよ。

 


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