罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
「まあ、こんな所か。質問あるヤツはいるか?」
優衣が手をあげると同時に質問する。
「放送役って誰?」
仁は自分の隣でパソコンをいじくってる男を指差した。
「今回はコイツ。秀隆だな」
そういえばそんな人いたかも。優衣は佐伯秀隆を見つめた。
前髪が目までかかる長い黒髪に薄く白のメッシュが入っている。正直、無口な印象がある。というか、この人が喋った所は見たことがない。
「ちゃんと喋れんの?」
「だるまさんがころんだ」
急に機械音が流れ、優衣はビクッと身構えた。
「な、何?」
「だ〜るまさ〜ん、がころんだ」
再び聞こえる機械音。パソコンが喋ってる?
修二が笑いながら優衣の肩を叩く。
「大丈夫だよ。コイツはちゃんと音声用意してるから。それにマイクを持つと人が変わるし」
「ふ〜ん」
このクラブは本当に変な人ばっかりだ。と優衣は思った。
「他に質問あるヤツはいるか?」
「はい」
部員全員が振り返ると、麻紀が手を挙げていた。
「そのゲーム、私も参加していいですか?」
仁が麻紀の顔を見つめる。
「遊び半分でゲームに入る事はできないぞ? 混ざりたいなら部員になってもらう」
「しかも部員になったら簡単にはやめられないよ?」
修二が後ろから付け足す。麻紀は大きく頷いた。
「大丈夫です。面白そうなんで」
「そうか、じゃあ本田麻紀、次のゲームはお前も混ざれ」
「軽っ!!」
優衣が心配そうに麻紀の顔を覗き込む。
「麻紀、本当にいいの?」
「うん。陸上部よりもスリルありそうだし。それに」
麻紀は笑いながら強引に優衣と肩を組んだ。
「優衣もいるしね」
仁が立ち上がり、ゆっくりとした歩調で入り口の前まで歩き出す。
「次のゲームは放送が流れ次第スタートだ。今日はこれで解散」
そういうと同時に、仁は部室を出て行った。
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