罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
〜授業中の攻防〜
「はじめのい〜〜〜〜〜〜〜っぽ!!」
音声と教室を飛び出す。優衣のいる1年の教室は2階。そして、放送室は1階の渡り廊下を抜けた先にある。
3年の教室は3階。これは3年生があきらかに不利なゲームだ。だからって手は抜けない。あんなわけの分からない罰ゲームを受けるのはイヤだし、なにより勝負に負けるのがイヤだ。
『だ〜る〜ま〜さ〜ん〜が〜』
優衣は廊下の窓を開けた。開けた窓の淵にすぐさま足をかける。
『ころんだ!!』
足をかけた所でピタッと止まった。不安定な体勢のままバランスを保つ。
窓から見えるのは中庭。花壇に下りれば衝撃は少ないはずだ。
「ゆ、優衣?」
後ろから麻紀の声が聞こえた。バクバクと鳴っている心臓の鼓動を抑える。
「麻紀、私ちょっとショートカットするわ」
「頑張るねえ……」
啓介の気の抜けた声が聞こえる。優衣は唇を噛み締めた。大丈夫。絶対に大丈夫。
『だるまさんがころんだ!!』
少し速いテンポ。優衣はコールの間に両足を窓の淵に乗せた。飛び降りている最中に『だるま』コールが終わったら、やっぱり失格なんだろうか?
……失格だろうな。
「優衣、気をつけてね」
「怪我すんなよ?」
遠くから二人の声が聞こえる。恐らくすでに階段の近くまでたどり着いてるんだろう。
よし、次だ。次のコールが始まった瞬間に飛び降りる。
心臓の音がどんどん大きくなる。優衣は大きく深呼吸した。
『だ〜る〜ま〜〜〜』
「おい! バカな真似はやめろ!!」
突然響く百瀬先生のどなり声。それに反応するように優衣は窓から飛び降りた。
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