罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 計算外だった。まさかみんながここまで狂ってるなんて……。

 

『だるまさんが』

 

 優衣は5人の前に向き直った。仁と和也はすでに立ち上がっていて、他の三人はまだ座ったままだ。

 

『ころんだ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 優衣は自分の体がうずくのを感じていた。ここまで無茶をする人は自分以外で見たことがない。しかも、その相手は謎に満ちている。

 

 ……闘ってみたい。このニ人がどれだけ強いのか、自分の目で確かめたい。

 

 

  優衣は麻紀から渡された紙の内容を思い出す。

 

 

 

 

吉岡和也

「ド」がつく卑怯者。

 

荒谷仁

名前を出すとみんな逃げた。

 

 

 優衣は仁と和也の顔を見比べてみた。和也も気になるところだけど、やっぱりここは……。

 

「仁」

 

「ん?」

 

 

 

 

「……あたしと勝負しない?」

 

 

 

「今してるだろ」

 

「そうじゃなくって、ここを通りたいでしょ?」

 

 優衣の50メートルほど後ろには中庭の出入り口がある。

 

「……ていうか通らなきゃゴールできねえからな」

 

 

『だ〜〜〜る〜〜ま〜〜』

 

 

「あたしを倒さないと通れないよ。って言ったらどうする?」

 

 

「はあ? マジで言ってんのか?」

 

 

「うん」

 

『さ〜〜ん〜〜〜〜が〜〜』

 

 仁の後ろで和也が真剣な表情をしている。花壇に座っていた三人もすでに立ち上がり、ゆっくりと歩き出している。

 

 

「タイマンってことだよな……」

 

 

「もちろん」

 

 

『ころんだ!!』

 

 

 優衣と仁は向き合ったまま止まる。二人の距離は5メートル。


77ページ

次へ   前へ    TOPへ    目次へ