罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ


 優衣たちが桜公園に着くと、すでにメンバー達が勢ぞろいしていた。

 

 公園の中心にある大きな時計は昼の1時を指している。集合時間ピッタリだった。

 

 

 優衣達がメンバー達と合流すると、和也がいきなり優衣の肩を両手で掴み、前後に揺すった。

 

「偉い!!」

 

 

 優衣は和也の手を乱暴に払い、眉をつりあげる。

「は? 何が!?」

 

 和也は笑いながら優衣を指差した。

 

「逃げなかった」

 

 逃げると思われてたのか。優衣は顎を上げて偉そうに和也を見た。

 

「逃げるわけないじゃん」

 

「はは、まあ、そうか。あの状況でも逃げなかったんだもんな」

 

 和也の言葉を聞き、優衣は初めてみんなと会った時の事を思い出した。あれからすっかり倶楽部の一員になってしまった。桜高校に入学してから、こんな事になってしまうなんて、誰が想像できただろう。

 

 麻紀が小さい声で「あの状況って、どんな状況?」と聞いてきた。優衣は「大した事じゃないよ」と返事を返す。

 

 メンバーの中心に仁が立ち、皆に声をかけた。

 

「よし、じゃあ手っ取り早く罰ゲームを始めるか」

 

 

 誠が仁の隣に並び、優衣と和也を見る。

「執行人、前へ」

 

 和也が前に出るのを見て、優衣も一歩前に出た。なんだか本当に罪人になったみたいで軽くヘコむ。

 

「さあ、どっちから行く?」

 

 仁が他人事のように笑いながら言った。優衣はさっと手を挙げる。

 

「私が行く」

 

 立候補した瞬間、修二が「ヒュウ」と乾いた口笛の音を出した。

 

「優衣はチャレンジャーだな」

 

 他人事な言い方が本当にムカつく。と、優衣は思った。

 

 

 和也が両手を腰に当てて、偉そうに優衣に話しかける。

「俺まで回すなよ?」

 

 優衣は和也に背を向けて大きく舌打ちをした。

 

「テメエ! なんだその態度は!!」

 

「うるさい! 和也だって負けてんじゃん! なんで偉そうなのよ!!」

 

 

「はいはい。もういいから」

 

 けんか腰の二人の間に修二が割ってはいる。

 

「ほら、あそこの砂場にいるのが百合ちゃん。隣にいるのがクソガキ。確認して」

 

 優衣が頷くと、仁が遠くから声をかけてきた。

 

「たった5万の仕事だけど、しくじるなよ?」

 

 優衣は大きく目を開き、仁の方に向き直る。

 

「金取ってんの!?」

 

 仁が「当たり前だ」といった感じでフッと笑った。

「ボランティアでこんな事やるわけないだろ」

 

「……金の亡者」

 

「うるせえな。部費のためだ」

 

 優衣は再び舌打ちをした。これからやる罰ゲームで発生したお金が、監視カメラだとかスタンガンだとかに消えていくのかと思うとげんなりする。

 

「さあ罰ゲームだ。優衣、行って来い。文句は罰ゲームをやり遂げてから言え」

 

 仁の言葉を聞き、仕方なく優衣は砂場に向かって歩き出した。

 


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