罰ゲーム倶楽部 第2ゲーム だるまさんがころんだ
「普通に食べてもつまらないだろ? 俺が君の口にお菓子を入れて、君はそのお菓子が何なのか当てるゲームをしよう」
「そんなのすぐに分かるよ」
洋介は自信満々といった表情で和也を見る。
「よし、じゃあゲームスタートだ。目をつぶって」
洋介は言われた通りに目をぎゅっとつぶった。和也がごそごそと紙袋の中を探る。
「よし! 男の子が大好きなこのお菓子にしよう」
和也はゆっくりと紙袋から手を抜いた。その手に持っている物体を見て、優衣は驚愕する。
やたらと黒光りするボディ。頭に生えた長い触角。そして、ギザギザの足。
まさか……夏特有のアレ!? あの気持ちの悪い生き物を食べさせる気!?
いや、違う。
錯覚したのは一瞬だけで、すぐにそれがチョコレートでコーティングされたクッキーだと分かった。しかし、これはえげつない。リアルな黒光りと細かい造形は本当にアレにそっくりで、芸術品と言えるほどの完成度だ。小学一年生には見分ける事が出来ないほど。
隣を見ると、百合は口を開けたまま呆然としている。目の前で何が起こっているのか分からないといった様子だった。
「さあ、口を開けて〜〜」
洋介が口を開ける。和也は悪魔のような笑みを浮かべ、百合を一瞥する。百合は和也の笑顔に怯えて後ずさった。
「これはな〜んだ?」
和也は洋介の口にそのリアルなお菓子を放り込んだ。洋介がお菓子をゆっくりとほおばる。その様子を見た百合は完全に引いていた。
ていうか和也は最低だ。
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